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「二人三脚でやっていく」カーライル・グループと投資先CxOとの関わり方や、活躍するCxOの共通点に迫る

「二人三脚でやっていく」カーライル・グループと投資先CxOとの関わり方や、活躍するCxOの共通点に迫る

カーライル・グループは、362のファンドを通じて、2,230億ドル以上の運用資産を保有するグローバルかつ世界最大級の投資会社です。日本国内の外資系プライベートエクイティ(PE)としてはトップの投資実績があり、グローバルファンドでは唯一日本の投資に特化したファンドを有しています。(2019年6月30日時点)

今回は、カーライル・ジャパン・エルエルシーのディレクター、小倉淳平様に同社の投資スタンスや、投資先ポジションで求める方の特徴、また投資先で活躍される方の共通点についてケンブリッジ・リサーチ研究所の島津がお聞きしました。

ファンドも様々。大切にしているのは、経営に対する深いコミットと地場にしっかりと根付くこと

島津:はじめに、日本のファンド業界における御社の立ち位置について教えていただけますでしょうか。

小倉様:我々カーライルはグローバルファンドの中で、2000年にいち早く日本に進出をしております。投資というのは、やはり「地場にしっかりと根付かなければいけない、ローカルであれ」という観点があります。そのため、我々としてはオフィスをしっかり東京に構え、人数を張り、投資を実行し、企業価値を向上させてきたというのが、過去から今までの経緯です。

また、我々は外資ではありますが、運用したリターンを、日本の投資家、金融機関、年金にしっかり還元することを心がけております。我々は投資家にも非常にこだわっていますね。

島津:例えば年金からの資金などは、立ち上げ当初から既に集まっているわけではないですよね。

小倉様:そうではないですね。まず、「ファンド」という言葉にはいろんな意味があります。当初はカーライルを含め「ファンド」というと「ディストレストファンド」のような捉え方をされていました。実際にプライベートエクイティ(PE)の我々の活動をしっかりと理解をしてくれる人達は多くなかったと思います。

正直なところ、当時は新聞記者でさえしっかりと理解をせずに、様々な形態の「ファンド」を一括りにされていたと思います。
例えば、ディストレストファンドや事業再生ファンドというのは、事業成長が止まってしまった会社に対しての投資が多いです。当然、経営のレバーが少ないのでリストラや資産売却が主になってしまいます。また、VCの場合、彼らもやはり広義でいうとファンドですが、彼らは5%〜10%など少数のパーセンテージを、スタートアップ企業に投資をします。アクティビィストファンドですと、上場している会社に対して、市場を通じて5~10%投資し、経営陣に対しての株主提案を実施します。

我々PEは、やはり良い会社に投資をして、経営に対して深くコミットし、経営陣の最大のサポーターとしてその事業をどのように伸ばすかという視点で活動しています。一緒くたに「ファンド」といっても、様々なのです。そういった点を投資家に正しく理解していただく点に苦労はありました。

今後の狙い目は、テクノロジー、ヘルスケア、そしてコンシューマー

島津:ありがとうございます。次に御社としての今後についてお聞きいたします。現在ターゲットにしている業界の規模や業種などお聞かせいただけますか。

小倉様:いくつか業種としてのキーワードがあると思っています。まずは「テクノロジー」、あとは「ヘルスケア」。さらにもうひとつが、「コンシューマー」でしょうか。

今や「テクノロジー」は、すべての業種になんらかのケースで使用されており、今後はさらに「テクノロジーを上手く活用した企業が市場での勝利を得られる」と考えています。そのため、テクノロジーを活用し、自分たちを成長させることに積極的な会社をぜひお手伝いしたいと思っています。

また、先進国の中で高齢化による需要は共通して増えてくると思います。その観点からも「ヘルスケア」は非常に魅力的ですね。

逆に「コンシューマー」は新興国が抱える大きなテーマです。これから人口1人あたりの消費量が増え、GDPが増えていく中において、業界として一番大きく成長するのはコンシューマーですよね。日本のコンシューマービジネスが成長するためには、中国、インド、東南アジアの市場を始めとする新興国に展開することが求められており、そこを我々が経営陣の最大のサポーターとして手伝いたいと思っております。

カーライル・ジャパン・エルエルシー 小倉淳平様
カーライル・ジャパン・エルエルシー 小倉淳平様

企業に本当に必要な機能は、しっかりと企業内に育てる

島津:「経営陣の最大のサポーターとして」というお話がありましたが、ファンド各社それぞれスタンスは様々だと思います。御社はどのようなスタンスなのでしょうか。

小倉様:弊社は、我々の資本はいつか抜けるという前提のもと、会社が永続的に成長するためには、「必要な機能はなるべく早い段階から対象会社の中に育てるべき」という考えをもっており、そこで内部に不足している機能があれば、経験豊富な外部からの人材を一緒になって採用して補っております。初めの100日は特にプロジェクトベースで、ハンズオンで関わります。最後に我々の資本が移動するときまでに、人や組織の組立ノウハウ、経営管理方法も含め、すべて会社のものになるように動いており、経営陣のやりたいことを支援するパートナーを目指しております。

オーナーと同じ方向を見て投資をし、よきビジネスパートナーとして二人三脚でやっていく

島津:そうなのですね。実際に投資先に常駐することも多いのでしょうか。

小倉様:完全に常駐という体制をとることはないです。他のPEではそのような体制をとるケースもありますし、または投資後のバリューアップ専担チームがいて、投資チームとは別に動いているケースもありますが、弊社はそうではありません。

我々は、資本を投下して、そのまま投資期間中も、投資を実行したチームが投資先と二人三脚でやっていき、そして最後の資本移動までずっとご一緒するというスタイルをとっています。

そのため、社長や経営陣またはオーナー様から、「良いビジネスパートナー」として位置付けてもらうことが重要になります。そのためには、資本の論理で動かすという話ではなく、投資前の「この業界はこうあるべきだ、我々はこういうふうにお手伝いができる、こういうことを一緒にやっていかないか」と長い時間をかけて話し合い、それから案件の実行に至ることが求められます。『投資先と関係が出来ている』というのは、『同じ方向を見て経営をご一緒している』という意味だと思っています。

島津:それは、投資をする段階から社長や経営陣またはオーナー様のご意向に御社として共感できないと、投資の決断をしないということでしょうか。

小倉様:そうですね、共感がなければ投資はしないです。我々が投資する対象を要素分解すると、事業・ビジネスモデルが半分、あとの半分は経営陣・従業員だと認識しています。経営陣と同じ方向を見られるかはとても重要なのです。

「良いCxO」であるかどうかは、会社のフェーズやシチュエーションで変わる

島津:投資先企業のCxOとなる方達に、御社として何を一番求めていらっしゃるのでしょうか。これまでのご経験から、どのようなタイプの方がマッチしましたか。

小倉様:正直、「あらゆる状態でもこの人なら絶対にマッチする」というケースはないと思っています。戦略や事業計画があり、それを実行するためのスキルセットを持っている人を、外部から採用して参画していただいております。

グッドタイムにバッドタイムCEOを入れるというのは、もったいないケースだと思います。例えばCFOでも、経営企画の要素に比重を置いてほしいシチュエーションの場合と、財務・経営管理の要素に比重を置いてほしいシチュエーションの場合は違います。会社のおかれている成長フェーズや競合の状況、内部に存在する課題によって、CFOにも求められるスキルや経験は異なるべきだと思っています。

ソフト面も同じで、成長スピードが早い会社に大企業のメソッドを持ってきてしまうと、スピードを阻害すると思いますし。逆も然りです。トライアンドエラーでグイグイ引っ張っていく方を創業100年目の企業にいきなりポッと入れても合うわけないですよね。常にソフト・ハードのスキルセットや、我々がやりたいことを鑑みて採用をしています。

逆に「この方優秀だな」と思うものの、「今のシチュエーションではない」といった方については、私の中で「こういうシチュエーションの時にこの人を起用しよう」と書き留めています。その為、CxOなどを決める際には、決してその方が「優秀か優秀でないか」という側面以外に、「このシチュエーションにフィットするかしないか」という観点も重要視して選ぶことが多いです。

会社の成長を見込んで採用する、だからリプレイスはほとんど起こらない

島津:なるほど。そうなると気になるのは、例えば投資先が再生フェーズだった場合に、そこにマッチする方がジョインしたとします。そして1年半ぐらいでそのフェーズが終わって、次の成長フェーズに入っていくとなった時に、その方はどうなるのでしょうか。いわゆるPEの投資先ですと、その場合はリプレイスするのではないかと思われている方もおりますが、そのような場合はどうされているのでしょうか。

小倉様:最初から再成長フェーズになることを見込んでお願いをします。上手く経営されている方を、フェーズが違うからという理由だけで途中でリプレイスすることはないです。

 島津:小倉様が直近で担当されている案件で、今まさに活躍しているCxOの方がいらっしゃると思いますが、その方々はどこが決め手で採用されたのでしょうか。

小倉様:私が過去に担当し、上場した会社があります。上場後の今足元でも業績が非常に伸びている会社ですが、そこはCEO、CFO、CSOの全てのポジションを外部から登用しています。

島津:外部から3人も重要なポジションに登用されるとなると、当然チーム内でのバランスも考えなくてはいけませんが、それ以外に個人の「キャラクター」についてはどのような点を考慮されましたか。もともとのビジネスで、その方がどのようなキャリアを積んでこられたのか、その時はこういうタイプの人が向いていたなど何かポイントがあったのでしょうか。

小倉様:対象会社は我々が投資する以前から二桁の年成長率で売り上げが伸びており、非常に成長スピードが早い会社でした。このようなケースでは組織が成長スピードについていくのがボトルネックになるケースが多く、ビジネスをスケーリングされた経験がある方というのが、CEOの要素として非常に重要だと思っていました。また、若い組織の為、進むべき方向を指し示して、組織をモチベートするのに非常に長けている「親分肌」のようなキャラクター面も必要でした。最初は何回も断られましたが、我々としてはパーフェクトな方にお願いできました。

CFOは元メーカーの方で、どちらかというと経験と落ち着きがある方です。CEOの方が積極的に推進していく中で、しっかりと組織と全体を見てくださっています。財務、会計、あとIRや上場のプロセスも非常に重要視をしていたので、その辺りの経験が豊富な方に参画いただきました。

また、それだけではなく、この方にはミッションとして「それらをやり遂げる + 次のCFOをしっかりと育てていく」ということをお願いして参画いただきました。

 CSOの方は、元々銀行、その後戦略系コンサルを経験し、次にスタートアップのCFOとして上場経験もある方でした。実は当初はCFOをお願いしてました。戦略面が非常に重要な局面だったので、CFOといえども戦略をしっかりと議論できる方を求めており、その条件にマッチしました。

その後、企業が更に成長していくにあたり、戦略面にもっとフォーカスしてほしいということで、CFOからCSOへのポジションチェンジをお願いし、このCFOのポジションに、先ほどの方に参画頂きました。

「どういう条件になったらリプレイスするのか」といった質問がありましたが、やはり我々は優秀な方々を採用していると思っております。もちろん同意の上でですが、このような例のように組織のニーズと強みを鑑みてポジションチェンジをお願いするケースもあります。

想定外の事態には、「一緒に」原因を追求する

島津:なるほど。人のリプレイスはあまりされないということがとても分かりました。戦略を実行していく中で、当然当初計画通りにいかないケースも出てくるかと思いますが、そういった場合は御社としてどういった関わり方をされるのでしょうか。

小倉様:まず、大体どの投資案件でも、1、2回は予期せぬことは起こります。そのような時は、「こうなってくれたらいいな」と希望的観測で動くのではなく、「こんなこともおこりかねない」とワーストケースを考え、先手先手で動くことが非常に重要になります。

「これは大きな問題になりそうだ」と感じた時は、なぜその事象が起きているのか、ルートコーズ分析をCxOと一緒に徹底的に行います。

 また、短期の経営指標だと見えにくい事象については、長期分析も定期的に実施しています。わずかではあるが徐々にシェアを奪われているなど企業にとってマイナスな兆候が経営指標の中に汲み取ったときは、同様にCxOと一緒に原因特定します。

島津:今おっしゃった「一緒に」というのが非常に大事なポイントだと思っております。こういった動きに対して、投資先の企業ではどうしても「やらされる」という感覚を持ってしまうことも多いと思います。何かしらワーストケースがあった時は、株主としてドンと入ってきて、「自分たちの意見は聞いてもらえません」といった印象を持たれている方もいらっしゃいますが、あくまでもそうではないということですね。

小倉様:センス・オブ・アージェンシー、つまり「これはすぐに対応しなくてはならない非常に危機的状況だ」ということをちゃんとCxOと共有し、一緒に動けるかどうかが重要になります。過去に関わった優れた経営陣の中ではこのようなアンテナが高く、我々が言うよりも先に大きく組織を変化させようと、どんどん動いていく方もいらっしゃいます。

ただし、我々はこのような時にもガバナンスが必要だと思っております。例えば「組織を変えて営業部門の在り方を変えられようとされていますが、本当に原因は営業部門の問題だけですか?」と質問し、分析してみる。問題の根本的な原因は「実は営業が担っている仕事の一部が他部署と重複して非効率になっていることが問題なので、単に人を動かすのではなくて、会社オペレーションのワークフロー自体を見直してから、組織自体をつくりなおしましょう」という話をします。我々は現場で起こっていることを正しく一緒にディスカッションしたうえで決める役割を担います。

投資先がオーナー企業の場合、誰が会社をドライブするのかを明確にすることが重要

島津:オーナー系企業の場合、オーナーの意見に左右される側面もあるのでしょうか。

小倉様:オーナー系の会社ですと、自身が長年にわたり市場や顧客を開拓してきており、過去の経験則で「これは…!」といったことをおっしゃるケースもあります。その方法で会社を大きくされてきたので、それも良いとは思いますが、社員としては全体戦略を共有されていないために右往左往してしまうところが少なからずあると思います。

そこで我々は、オーナーの「これだ!」と言ったところをサイエンスの観点からしっかり確かめ、その戦略を組織としてやりきるだけの人材がいるのか、といった議論をし、経営の高度化を図っていきます。

経営の高度化が出来てない中で、事業を推進していくと、仮にうまくいかなかっときの原因分析が出来ず、仮にうまくいっても業績が短期的に上下にブレたりします。いわゆる「成長の壁」にぶつかるケースです。経験上、300億円位の売り上げの会社は、新規事業が立ち上がったり商品ミックスが変わったりしても300億円からなかなか突き抜ける事が出来ないと感じます。理由としては、そのような会社は「300億円の売り上げの経営」をやっていらっしゃるからだと思っています。

例えば、売上を500億円にしていこうと思うと、コスト構造が厚くなるものの、その種をいくつか事前に植えながら育て、それを責任と権限をもってしっかりと担当して成長させられる人を、事業本部長ポジションで取り入れていかないとブレイクスルーしていかないです。そのような背景を抑え、我々としてはもう一段上の成長を目指していきます。

島津:例えば、オーナーシップの強い企業で、オーナーの指示にのみ忠実に動き然程ワークしていないマネジメントが多い環境であったとします。その中にCxOが上位者としてポンと入っていくところの大変さを感じることもあるのではないでしょうか。

小倉様:ありますね。

島津:もともとその会社にいた「中間管理職」の方々をどうワークさせるのかということについてですが、「人数がいるからなんとか回るだろう」と思って入ってみたら「思ったよりワークしない」といった状況にぶつかることもあると思います。そこは御社としてどのようなサポートをされているのでしょうか。

小倉様:そのようなケースでは、ガバナンスが重要になると思います。

オーナー系の会社では、次の50年後を育ててくれる社長を一緒に探したいといった依頼もあります。そのような時は、オーナーとふさわしい方を一緒に探して合意した方に入ってもらうと同時に、ドライバーズシートに誰が乗るのかというのを、組織に対して明確にする必要があります。 なぜなら、オーナーと新しいCEOが別々に様々なことを言い始めて、従業員・中間管理職と経営層の間にダブルスタンダードができると、会社全体の戦略的方向性が明確に伝わらなくなってくるケースが多いです。そこはオーナーが「この人に任せたから、この人の指示のもと会社全体で動きます」とはっきりと宣言してもらう必要があり、我々としてもドライバーが変わったことを明確に言い切ることが重要な役目だと思っています。

CxOにも、やはりコミュニケーションのよさが求められる

CxOにも、やはりコミュニケーションのよさが求められる

島津:なるほど、少し話を戻しますが、先ほどフェーズによってCxOに求められる能力や役割が異なるという話がありました。御社と上手にやりとりされている方々の特性はありますか。

小倉様:やはり共通してコミュニケーションが良いです。良いことも悪いこともタイムリーに言っていただけますし、カーライルを「使おう」と思っているCxOの方も共通して多いですね。CSOであれば「カーライルさん、証券会社さん6社紹介してください。M&Aのリストを本格的につくって動きたいと思っています」といったリクエストがくることもあるのですが、そういう方々は共通してコミュニケーション力が高いですし、我々としても普段のコミュニケーションを通して何をやりたいのかというのをよく理解しているので、「分かりました」とリクエストを受けて、すぐに我々の方から証券会社に要件を伝えてやり取りできます。

また、CxOと担当者の間でツーカーになるような関係性ができると良いですよね。
問題が起きた時に、アポイントを入れて、「3日後にお会いしましょう」という話になったら、コミュニケーションロス・コストが非常に高いです。良い関係が出来ていると、日曜日に電話がかかってくるケースもありますね。

島津:それはさすがに今ではないと思うのでしょうか。

小倉様:はい、今ではないという感覚ですが、でも嬉しいです。おそらく、金曜日の時点で「こういうふうですよね」と合意したあと、月曜日に全社社員に発表すると決めた時に、「こういうほうがいいかもしれない」みたいに考えられたんでしょうね。

島津:素晴らしいですね。最初はおおよそ面識がないようなCxOの方々とどのようにすれば密な関係性が生まれるのでしょうか。

小倉様:やはり、辛い局面や問題があった時に一緒にやっていく中で、自然と良質な関係性ができると思います。

ポジションに影響されず「事業にとって本当に必要なこと」に向き合うことで、現場との信頼関係が自然と出来上がる

島津:ありがとうございます。小倉様やCxOの方々は現場の方々と信頼関係が出来ていない状態で投資先に入るかと思います。そこで信頼を得る為のコツはあるのでしょうか。

小倉様:会社にとって何がベストなのかを自分なりにしっかり考え、それに向けて行動し続けていると、自然と信頼感を抱いていただけるようになりますね。
一方で、オーナーやCEOの意見を融通して、逆に他の役員メンバーや従業員の意見を軽視していると、やはり地位や会社内における政治・派閥を基準に動く人だと見られ、周りからの信頼が得られないです。

また、私が社員の方々と接する際に一番気を付けているのは、「誰が何をやりたい」ではなく「事業にとって良いこと・悪いこと」を明確な判断軸として持って、話したり行動したりすることです。それを「なんとなく」でも理解していただけると、我々の方に様々な相談が入ってくるようになります。
それは決して役員からだけではなく、部長手前ぐらいの方からも、情報として何かの折に入ってきたりします。その情報が本当に正しければ、それを経営トップの取締役会で議論のテーマにするケースもあります。

そうなると、私に対して「こう思います」と言ってきてくれた方の意見が、経営レベルで議論・判断がされ、結果会社が変わっていったり、もしくは戦略の一部として組み込まれたりするので、「自分たちの意見が正しければ、組織全体が動いていく」という経験が積まれ、信頼関係が築かれていくわけです。
こういう人をいかに会社内に沢山つくるのかが、これまでの経験で得た黄金パターンだと思います。

CxOを目指すなら、経験の引き出しとフレームワークを豊富に持ってほしい

島津:ありがとうございます。最後に、将来的に「御社の投資先CxOとして働きたい」と考える方が今のうちに磨いておくべきスキル、持っておくべき経験があれば教えていただけますか。

小倉様:私は今、優秀な人材の流動性が非常に上がっていると感じています。それは若いうちに外資系の企業に入社して経営を学んだ人たちが、更なるステップアップや前職と違った環境で揉まれるために人材マーケットに出ているという理由も考えられますし、若い頃からスタートアップでがむしゃらに頑張ってこられた方も増えているからだと思います。
また、大企業の中で幹部候補としてピカピカに育てられたような方が、その会社から出て経営者になるケースも増えてきました。

一つのフィールドに限定せず、上記のように様々なことを経験されることで引き出しが多くなると思います。悪い時に対応する引き出しが3個しかない人と、それが10個ある人とでは、取れる選択肢が大きく変わってくるので、CxOを目指す方々は勇気を振り絞って外に出て、新しい引き出しの数を増やしていただきたいなと思います。

あともうひとつは、「フレームワークを持っている方と持ってない方」という観点ですと、特にPEの投資先で働くにあたってはフレームワークを持っている方のほうが、遥かに活躍しやすいと思っています。

組織の動かし方のフレームワークや、戦略を立て、そこに正しくリソースを当てはめてゆくフレームワークが必要です。何もなしにストーリー仕立てで話されるよりは、そのようなフレームワークを持っていると全体として組織も動かしやすく、我々としても理解しやすいです。

経験則ですが、大手外資系の日本法人の幹部の方々はフレームワークをお持ちだなと思います。戦略を組織に浸透させるために明文化して、「我々のお客様はこれで、やらないことはこれで、やることはこれで、この戦略を一言でいうとこういう戦略です」と常にそれを従業員に言い続ける。戦略を組織に浸透させる方法としてフレームワークは重要なことだと思っています。

カーライル・グループ プロフィール
カーライル・グループは、362のファンドを通じて、2,230億ドル以上の運用資産を保有するグローバルな投資会社です。1987年にワシントン D.C.で設立されたカーライルは、北米、南米、欧州、中東、アフリカ、日本、アジア、オーストラリアに33拠点、 1,775名以上の投資プロフェッショナルを擁し、世界最大級で屈指の投資実績を誇る投資会社に成長しました。
2019/6/30時点
参考:https://www.carlyle.com/corporate-overview

カーライル・ジャパン・エルエルシー ディレクター 小倉 淳平 様
2006年にカーライルに参画。テクノロジー・ビジネスサービス・通信・メディアセクターへの投資を中心に活動。
現在、マネースクエアホールディングス株式会社及びウォルブロー株式会社非常勤取締役。過去においてアルヒグループ株式会社、シンプレクス株式会社非常勤取締役、チムニー株式会社及び株式会社ツバキ・ナカシマ非常勤監査役。
入社以前はUBSウォーバーグ証券会社(現UBS証券株式会社)の投資銀行本部にて、主に金融機関に対するコーポレートファイナンス業務を担当。在職中、ニューヨークオフィスの金融法人グループに所属し、米銀、資産運用会社向けアドバイザリー業務に従事。慶應義塾大学総合政策学部卒。

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